最終更新:2026年09月20日
この記事でわかること
- 家賃滞納から強制退去になるまでの期間の目安
- 督促から強制執行までの流れ(段階ごとに何が起きるか)
- 強制退去のとき荷物はどうなるか・警察は来るのか
- 強制退去のあとも残る支払いと、次の部屋探しへの影響
- 強制退去を避ける制度と、住む場所を失ったときの確保の方法
家賃を滞納してしまい、「このまま強制退去になるのでは」と不安を抱えている人は少なくありません。家賃滞納で強制退去になるまでには、いくつもの段階と、数か月以上の時間があります。1か月遅れただけで、すぐに部屋を追い出されることはありません。
ただし、何もしないまま放っておくと、確実に強制退去へ近づいていきます。この記事では、家賃滞納から強制退去までの流れと期間、荷物や警察の扱い、退去後に残る支払いを解説したうえで、強制退去を避けるための制度と、住む場所を失ったときの確保の方法を紹介します。今まさに困っている人は、最後の章から読んでも構いません。
家賃滞納で強制退去になるのは何か月から?
家賃滞納による強制退去とは、裁判所の判決にもとづいて、裁判所の執行官が部屋を明け渡させる手続きのことです。大家や管理会社が自分の判断で住人を追い出すことはできず、必ず裁判所の手続きを経る必要があります。
何か月の滞納で強制退去になるかは法律で決まっていませんが、滞納が3か月ほど続くと、大家との信頼関係が壊れたと判断されやすいとされています。賃貸の契約を解除するには、家賃を払わないことで「貸す側と借りる側の信頼関係が壊れた」といえる状態が必要で、1〜2か月の遅れだけでは、ただちに契約を解除できないと考えられているからです。
| 滞納の期間 | よく起きること |
|---|---|
| 数日〜1か月 | 電話・メール・書面での督促。保証会社から連絡が来ることも |
| 1〜2か月 | 督促が強まる。保証会社が大家に立て替え払いをし、保証会社から請求される |
| 3か月前後 | 内容証明郵便で支払いの催告や契約解除の通知が届くことがある |
| 3〜6か月 | 明け渡しを求める裁判を起こされることがある |
| 半年〜1年 | 判決のあと強制執行で退去 |
強制退去までにかかる期間は、全体で数か月から1年ほどが目安です。ただし、これは大家や保証会社がどれだけ早く手続きを進めるかによって変わります。保証会社が付いている契約では、手続きが比較的早く進む傾向があります。
大切なのは、「3か月までは大丈夫」と考えないことです。滞納が長くなるほど支払う額は増え、返せる見込みも立ちにくくなります。また、話し合いの余地が残っているのは、滞納が浅いうちです。1か月でも遅れそうだと分かった時点で動くことが、強制退去を避けるいちばんの近道です。
家賃滞納から強制退去までの流れ
家賃滞納から強制退去までは、一般的に次の段階を踏んで進みます。どの段階にいるかによって、打てる手が変わります。
STEP1督促(電話・書面)
支払日を過ぎると、大家や管理会社、保証会社から電話や書面で支払いの督促が来ます。この段階なら、事情を話して支払日を相談すれば、大きな問題にならないことがほとんどです。
STEP2保証会社による立て替え払い
家賃保証会社と契約している場合、保証会社が大家に家賃を立て替えて払い、その後は保証会社から住人に請求が来るようになります。大家には家賃が入っているので問題が見えにくくなりますが、住人の借金は保証会社に対して残っています。
STEP3内容証明郵便での催告・契約解除の通知
滞納が続くと、「◯日までに払わなければ契約を解除する」という内容の書面が、内容証明郵便で届くことがあります。これは裁判の前の最終通告にあたるものです。この書面が届いたら、すぐに連絡をとって相談することが重要です。
STEP4明け渡しを求める裁判
それでも支払いがなければ、大家や保証会社が裁判所に「部屋を明け渡せ」という裁判を起こします。裁判所から訴状が届き、裁判の期日が決まります。裁判の途中で話し合いがまとまり、分割払いや退去の時期を決める「和解」になることもあります。
STEP5判決
裁判で大家側の言い分が認められると、明け渡しを命じる判決が出ます。判決が出ても、すぐに強制的に追い出されるわけではなく、このあと自分から退去するよう求められることが多いです。
STEP6強制執行(明け渡しの催告と断行)
判決のあとも退去しない場合、大家側が裁判所に強制執行を申し立てます。まず裁判所の執行官が部屋を訪れ、「◯月◯日に強制的に明け渡しを行う」と告げる「明け渡しの催告」が行われます。その日までに退去しなければ、決められた日に執行官が荷物を運び出し、鍵を替えて部屋を明け渡させる「断行」が行われます。
このように、強制退去までには何度も「話し合える機会」があります。どの段階でも、連絡をとって相談すれば、支払い方法や退去の時期を調整できる可能性が残っています。最も避けたいのは、督促や書面を無視し続けることです。
家賃滞納から強制退去までの時間の流れ(例)
実際にどのくらいの時間で状況が進んでいくのかを、一つの例で見てみましょう。ここで挙げるのは、よくある流れをもとにした架空の例で、実際の期間は契約や大家側の対応によって変わります。
4月に仕事の契約が切れて収入がなくなり、5月分の家賃を払えなかったとします。5月の支払日を過ぎると、保証会社から電話とはがきで督促が届きます。この時点で連絡をとっていれば、分割払いの相談ができる段階です。
6月・7月も払えないまま連絡をとらずにいると、7月の終わりごろに「期限までに払わなければ契約を解除する」という内容証明郵便が届きます。それでも支払いがなければ、8月から9月ごろに裁判所から訴状が届き、10月ごろに裁判の期日を迎えます。
裁判で明け渡しの判決が出て、それでも退去しなければ、11月から12月ごろに執行官が訪れて明け渡しの催告を行い、およそ1か月後の断行日に強制退去となります。この例では、最初の滞納から強制退去まで、およそ8か月かかっています。
この8か月の間には、督促、内容証明、訴状、裁判の期日、明け渡しの催告と、少なくとも5回は「立ち止まって相談できる機会」がありました。どこか一つの段階でも連絡をとっていれば、分割払いや自主的な退去など、強制退去より負担の小さい道を選べた可能性が高いのです。
この章のポイント
- 例では最初の滞納から強制退去まで約8か月
- その間に少なくとも5回は相談できる機会がある
- どこか一つの段階で連絡すれば、負担の小さい道を選べる
家賃滞納の督促が来たときの対応
家賃の支払日を過ぎると、最初に届くのが督促の電話や書面です。この段階での対応しだいで、その後の流れが大きく変わります。督促は無視せず、できるだけ早く返事をすることが基本です。
電話がかかってきたら、まず滞納していることを認め、いつまでにいくら払えるかを伝えます。その場で払える日が分からない場合でも、「◯日までに見通しを連絡します」と伝えておけば、相手は次の対応を待ってくれることが多いです。反対に、電話に出ない、折り返さないという状態が続くと、「払う意思がない」と受け取られ、手続きが早く進みやすくなります。
書面で督促が届いた場合も、書かれている連絡先にこちらから連絡しましょう。書面には支払期限や、期限までに払わなかった場合の対応が書かれていることがあります。期限までに全額を払えない場合でも、一部だけでも払う、分割の相談をすることで、話し合いの余地を残すことができます。
督促に対応するときは、話した日付、相手の名前、約束した内容をメモしておきましょう。後から「言った・言わない」で揉めるのを防げます。また、支払ったときは振込の控えを必ず残しておきます。家賃を手渡しで払う場合は、受け取った証拠として領収書をもらうようにしましょう。
なお、督促のやり方にも限度があります。深夜や早朝に何度も電話をかけてくる、勤務先に押しかけてくる、玄関に張り紙をして近所に知らせる、といった行き過ぎた取り立てを受けた場合は、消費生活センターや法テラスに相談できます。滞納している負い目から我慢してしまう人もいますが、行き過ぎた取り立ては別の問題として相談してかまいません。
この章のポイント
- 督促は無視せず、いつまでにいくら払えるかを伝える
- 話した日付・相手・約束をメモし、振込の控えを残す
- 行き過ぎた取り立ては消費生活センターや法テラスに相談できる
家賃保証会社から請求が来たら
いまの賃貸住宅の多くは、入居のときに家賃保証会社と契約しています。家賃を滞納すると、保証会社が大家に家賃を立て替えて支払い、その後は保証会社が住人に立て替えた分を請求する仕組みです。これを「代位弁済」と呼び、保証会社が住人に払いを求めることを「求償」と呼びます。
大家からすると家賃は入っているので、滞納の問題はいったん見えなくなります。しかし住人から見れば、大家への滞納が、保証会社への借金に置き換わっただけです。保証会社は取り立てに慣れているため、督促は大家より頻繁で、手続きも早く進む傾向があります。
保証会社から請求が来たら、大家に対してと同じように、早めに連絡して支払いの相談をしましょう。保証会社の立て替えにも上限があり、滞納が続くと保証会社自身が契約の解除や明け渡しの裁判を進めることがあります。保証会社が裁判を起こすケースも珍しくありません。
また、保証会社への支払いが遅れた記録は、次に部屋を借りるときの審査に影響することがあります。同じ保証会社や、情報を共有している保証会社の審査に通りにくくなるためです。分割払いで少しずつでも返していくことが、今後の部屋探しを考えても大切です。
この章のポイント
- 保証会社が立て替えた分は、保証会社への借金として残る
- 保証会社が明け渡しの裁判を起こすこともある
- 遅れの記録は次の部屋探しの審査に影響することがある
家賃滞納で裁判の訴状が届いたら
滞納が長引くと、裁判所から「訴状」と「期日呼出状」が届くことがあります。大家や保証会社が、部屋の明け渡しと滞納家賃の支払いを求めて裁判を起こしたという知らせです。
訴状が届いたら、絶対に放っておかないでください。決められた日までに「答弁書」という書面を出さず、裁判の期日にも出席しないと、相手の言い分をすべて認めたものとして扱われ、そのまま明け渡しを命じる判決が出てしまいます。
答弁書には、滞納していることを認めるかどうか、支払いについての希望などを書きます。書き方が分からない場合は、裁判所の窓口で相談したり、法テラスで弁護士に相談したりできます。収入が少ない人は、法テラスの無料の法律相談や、弁護士費用の立て替えの制度を使えることがあります。
裁判になっても、話し合いで「和解」がまとまることは少なくありません。たとえば「滞納分を分割で払い、今後の家賃をきちんと払えば住み続けられる」、「◯月◯日までに自分から退去する代わりに、強制執行はしない」といった内容です。和解の内容は判決と同じ効力を持つので、決めた内容は必ず守る必要があります。
裁判に出るのは不安かもしれませんが、出席して自分の事情を伝えることで、強制執行を避けたり、退去までの時間を確保したりできる可能性があります。次の住まいを探す時間が取れれば、住まいが途切れずに次の生活へ移れます。
この章のポイント
- 訴状を放っておくと、相手の言い分どおりの判決が出る
- 答弁書を出し、期日に出席する
- 分割払いや退去時期を決める「和解」になることも多い
強制執行の費用の目安と誰が払うか
強制執行にはお金がかかります。裁判所に納める予納金のほか、荷物を運び出す作業員や車両の費用、運び出した荷物を保管する費用などです。部屋の広さや荷物の量によって大きく変わり、全体で数十万円以上になることもあります。
これらの費用は、手続きを申し立てた大家や保証会社がいったん立て替えて払いますが、法律上は最終的に住人に請求できるものとされています。強制退去になると、滞納していた家賃に加えて、この執行費用まで背負うことになりかねません。
執行費用を少なくするいちばんの方法は、強制執行の日を待たずに、自分から退去することです。判決が出たあとでも、明け渡しの催告を受けたあとでも、自分から荷物をまとめて部屋を空ければ、作業員や車両の費用はかかりません。荷物が少なければ引っ越しの費用も抑えられます。
自分から退去すると決めたら、退去の予定日を大家側に伝え、鍵の返し方を確認しましょう。次の住まいが寮付きの仕事なら、大きな家具や家電を持ち込む必要がないので、持ち物を必要最低限に絞って身軽に移ることができます。
この章のポイント
- 強制執行の費用は数十万円以上になることもある
- 最終的に住人へ請求されることがある
- 執行の日を待たずに自分から退去すれば費用を抑えられる
家賃滞納に時効はある?
「滞納した家賃は、何年かたてば払わなくてよくなるのでは」と考える人もいます。家賃の支払いを求める権利にも時効はあり、原則として5年とされています。ただし、時効を当てにして支払いを放っておくのはおすすめできません。
まず、時効は期間がたてば自動的に成立するものではありません。時効を主張する意思を相手に伝える「援用」という手続きが必要です。また、その間に裁判を起こされたり、支払いを約束したり、一部でも払ったりすると、時効の期間は振り出しに戻ることがあります。
さらに、裁判で判決が出ると、その支払いを求める権利の時効は10年に延びます。家賃滞納で裁判を起こされていれば、5年で時効になることはまずないと考えたほうがよいでしょう。判決にもとづいて給料や預金を差し押さえられるリスクも、その間ずっと残ります。
時効を待つより、支払える範囲で分割して返していくほうが、結果的に生活への影響は小さくなります。どうしても返せない額の借金がある場合は、時効ではなく、法テラスなどで債務整理を相談するのが現実的です。
この章のポイント
- 家賃の時効は原則5年だが、援用の手続きが必要
- 支払いの約束や一部の支払いで時効は振り出しに戻ることがある
- 判決が出ると時効は10年に延びる
家賃が払えないときの支払いの優先順位
収入が減って家賃が払えないとき、ほかにも公共料金やスマホ代、借金の返済など、払わなければならないものが重なっていることが多いものです。すべてを払えないときは、生活への影響が大きいものから優先して払うのが基本です。
| 優先度 | 支払い | 理由 |
|---|---|---|
| 高い | 家賃 | 滞納が続くと住まいを失い、生活の立て直しが難しくなる |
| 高い | 電気・ガス・水道 | 止まると生活できない(水道は止まるまでの期間が比較的長い) |
| 高い | 税金・国民健康保険料 | 滞納すると差し押さえを受けることがある。減免の相談ができる |
| 中 | スマホ代 | 連絡手段がなくなると仕事探しに困る |
| 相談で調整 | 借金の返済 | 返済額の見直しや債務整理を相談できる |
家賃は、住まいそのものに関わるので最も優先度が高い支払いです。家賃を払うために、借金の返済を一時的に待ってもらうよう相談するのは、生活を立て直すうえで現実的な選択です。
税金や国民健康保険料は、収入が大きく減った場合に減免や猶予を受けられることがあります。住んでいる市区町村の窓口で、「収入が減って払えない」と相談してみましょう。スマホ代は、仕事探しの連絡に欠かせないので、安いプランに変えて維持することを考えます。
何から払えばよいか分からなくなったら、自治体の自立相談支援機関で、今の収入と支払いを一緒に整理してもらうことができます。一人で抱え込まず、全体を見て優先順位をつけることが、住まいを守ることにつながります。
強制退去のとき荷物はどうなる?
強制執行の「断行」の日には、裁判所の執行官が作業員とともに部屋に入り、室内の荷物を運び出します。住人が立ち会っていなくても、鍵を開けて作業が行われます。
運び出された荷物は、一定の期間保管されたあと、引き取りがなければ売却や処分されるのが一般的です。保管の期間や場所は執行官から知らされます。大切な物を取り戻したい場合は、決められた期間内に引き取りを申し出る必要があります。
| 物 | 強制退去での扱い |
|---|---|
| 家具・家電・衣類 | 運び出されて保管。引き取りがなければ売却・処分 |
| 現金・貴重品 | 執行官が保管し、引き取りを求められる |
| 身分証・通帳・重要な書類 | 保管されるが、紛失の不安があるので事前に持ち出すのが確実 |
| ペット | 事前に引き取り先を決めておく必要がある |
強制執行の費用(荷物の運び出しや保管の費用など)は、いったんは大家側が負担しますが、最終的には住人に請求されることがあります。荷物が多いほど費用も大きくなるので、断行の日を待たずに自分で退去したほうが、結果的に負担は軽くなります。
明け渡しの催告を受けたら、断行の日までに、身分証・通帳・スマホ・保険証・お薬など、生活に欠かせない物を必ず持ち出しておきましょう。これらがないと、次の住まいや仕事を探すときに大きく困ることになります。
家賃滞納で強制退去のとき警察は来る?
「強制退去のときは警察が来るのか」と不安に思う人もいます。強制執行を行うのは裁判所の執行官で、警察ではありません。
ただし、住人が強く抵抗したり、危険な状況が予想されたりする場合には、執行官が警察に援助を求めることが法律で認められています。そのため、状況によっては警察官が立ち会うこともあります。
一方で、大家や管理会社が裁判所の手続きを経ずに、勝手に鍵を替えたり荷物を運び出したりすることは認められていません。こうした行為は「自力救済」と呼ばれ、法律上許されない行為とされています。滞納している側にも問題はありますが、手続きを経ずに追い出されそうになった場合は、法テラスや弁護士、自治体の相談窓口に相談できます。
・裁判の書類が届いていないのに、鍵を替えられた・荷物を出された
・深夜に何度も押しかけられるなど、行き過ぎた取り立てを受けている
→ 法テラス(0570-078374)や、自治体の法律相談・消費生活センターに相談できます
強制退去のあとも家賃滞納の支払いは残る
強制退去になっても、滞納していた家賃を払う義務がなくなるわけではありません。部屋を出たあとも、滞納していた家賃や、裁判・強制執行にかかった費用、契約で決められた遅延損害金などを請求されます。
| 退去後に請求されうるもの | 内容 |
|---|---|
| 滞納していた家賃 | 退去するまでの分 |
| 遅延損害金 | 支払いが遅れたことに対する損害金(契約で決まっていることが多い) |
| 原状回復費 | 部屋の傷や汚れの修繕費 |
| 裁判・強制執行の費用 | 訴訟費用や荷物の運び出し・保管費用 |
支払わずに放っておくと、判決にもとづいて給料や預金を差し押さえられることがあります。新しい仕事を始めたあとに給料が差し押さえられると、生活を立て直すのがさらに難しくなります。
一度に払えない場合は、請求してきた大家や保証会社に分割払いを相談しましょう。支払う意思を示して話し合えば、無理のない金額で分割に応じてもらえることもあります。借金がほかにもあって返済が難しい場合は、法テラスなどで債務整理について相談する方法もあります。
家賃滞納で強制退去になると次の部屋探しはどうなる?
家賃滞納で強制退去になると、その後の部屋探しにも影響が出ることがあります。特に注意したいのが、家賃保証会社の審査です。
いまの賃貸住宅の多くは、入居のときに家賃保証会社の審査を受けます。家賃保証会社の中には、過去の滞納の情報を会社どうしで共有しているところがあり、強制退去の記録があると審査に通りにくくなることがあります。クレジットカード会社などの信販系の保証会社の場合は、個人の信用情報に記録が残ることもあります。
そのため、強制退去のあとに普通の賃貸を借りるのは、しばらく難しくなると考えておいたほうがよいでしょう。その間の住まいとしては、保証会社の審査がない寮付きの仕事や、公営住宅、自治体の支援を通じた住まいなどが選択肢になります。
寮付きの仕事は、会社が用意した住まいに住むため、家賃保証会社の審査も敷金・礼金も必要ありません。住まいと収入を同時に確保でき、寮費無料の職場なら家賃の心配をせずにお金を貯めながら生活を立て直せます。一定の期間働いて貯金ができれば、あらためて賃貸を探すこともできます。
この章のポイント
- 家賃保証会社の審査に通りにくくなることがある
- 保証会社の審査がない寮付きの仕事や公営住宅が選択肢
- 貯金ができてから改めて賃貸を探す方法もある
家賃滞納で強制退去を避けるためにできること
強制退去を避けるには、滞納が浅いうちに、できることから動くことが何より大切です。次の方法を、今の状況に合わせて使ってください。
①大家・管理会社・保証会社に正直に相談する
支払いが遅れそうだと分かった時点で、支払える見込みの日と金額を伝えて相談します。「いつまでに、いくら払えるか」を具体的に伝えると、分割払いや支払日の変更に応じてもらえることがあります。連絡がつかないことが、大家側にとっていちばん困る状態です。
②住居確保給付金を申請する
仕事を失った、収入が大きく減ったなどの理由で家賃が払えない場合、住居確保給付金を受けられることがあります。家賃相当額(上限あり)を自治体から大家に直接支給する制度で、原則3か月、条件によって延長されます。収入や預金の額などに条件があるので、自治体の自立相談支援機関で確認しましょう。
③生活福祉資金などの貸付を相談する
市区町村の社会福祉協議会では、当面の生活費などを貸し付ける制度を扱っています。返済が必要な貸付ですが、利子が低い、または無利子の制度もあります。
④家賃の安い住まいに移る
今の家賃が収入に見合っていない場合は、強制退去になる前に、家賃の安い部屋や寮付きの仕事に移ることも考えましょう。自分から退去すれば、強制執行の費用もかからず、次の部屋探しへの影響も小さく抑えられます。
⑤生活保護を相談する
収入や資産がなく、どうしても生活が成り立たない場合は、生活保護を相談できます。生活保護には家賃にあたる住宅扶助もあります。相談先は住んでいる地域の福祉事務所です。
どの制度が使えるか分からない場合は、まず自治体の自立相談支援機関に相談するのが近道です。今の状況を話せば、使える制度や相談先を一緒に整理してもらえます。
住居確保給付金の申請の流れ
家賃滞納を避けるための制度として、特に知っておきたいのが住居確保給付金です。仕事を失った、または収入が大きく減ったために家賃が払えなくなった人に、家賃相当額(地域ごとの上限あり)を自治体から大家に直接支払う制度です。
申請の流れは、おおむね次のとおりです。まず住んでいる地域の自立相談支援機関に相談し、対象になりそうかを確認します。対象になりそうなら、申請書と必要な書類をそろえて申請します。必要な書類は、本人確認書類、離職や収入の減少が分かる書類、預金通帳の写し、賃貸の契約書の写しなどで、自治体によって違います。
支給が決まると、原則3か月分の家賃相当額が大家に振り込まれます。条件を満たせば延長もあり、その間に仕事を探して生活を立て直すことになります。支給を受けている間は、ハローワークでの相談や求職活動を続けることが求められます。
この制度は、すでに滞納が長く続いてからでは間に合わないこともあります。申請から支給までには時間がかかるため、「来月の家賃が払えなさそうだ」と分かった段階で相談するのが理想です。対象になるかどうか分からない場合でも、まずは相談してみましょう。
この章のポイント
- まず自立相談支援機関で対象になるか確認する
- 支給は原則3か月、条件を満たせば延長あり
- 滞納が長引く前、払えなさそうだと分かった段階で相談する
家賃滞納の相談先まとめ
家賃滞納や強制退去について相談できる窓口をまとめました。一人で悩まず、状況に合った窓口を使ってください。
| 困っていること | 相談先 |
|---|---|
| 家賃が払えない・住居確保給付金を知りたい | 自治体の自立相談支援機関 |
| 生活費が足りない・生活保護を相談したい | 市区町村の福祉事務所 |
| 当面の生活費を借りたい | 市区町村の社会福祉協議会 |
| 裁判の書類が届いた・法律の相談をしたい | 法テラス(0570-078374) |
| 行き過ぎた取り立てを受けている | 消費生活センター(消費者ホットライン188) |
| 住まいと仕事を同時に探したい | 寮付きの仕事を扱う派遣会社・紹介会社 |
どこに相談すればよいか迷ったら、まず自治体の自立相談支援機関に連絡するのがおすすめです。家賃の問題だけでなく、仕事や借金、健康のことなど、困りごとをまとめて聞いてもらい、必要な窓口につないでもらえます。
寮寮ワークでも、住まいを失いそうな方からのご相談を受け付けています。家賃の滞納が続いて先が見えないときは、住まいと収入を同時に確保できる寮付きの仕事も選択肢に入れてみてください。
家賃滞納で強制退去になったとき住む場所を確保する方法
すでに強制退去が迫っている、または退去してしまって住む場所がない場合でも、今夜から住む場所を確保する方法はあります。
| 方法 | 特徴 | 相談先 |
|---|---|---|
| 寮付きの仕事に就く | 住まいと収入を同時に確保できる。敷金・礼金・保証会社の審査なし | 寮付き求人を扱う派遣会社・紹介会社 |
| 自治体の一時的な宿泊支援 | 住まいを失った人に一時的な宿泊場所を提供 | 自立相談支援機関・福祉事務所 |
| 生活保護 | 住まいの確保と生活費の支援 | 福祉事務所 |
| 実家・親族 | 家賃がかからない | 家族との調整が必要 |
働ける状態であれば、寮付きの仕事に就くのがいちばん早く生活を立て直せる方法です。工場の寮付き求人の中には、面接から最短で当日や翌日に入寮できるものもあります。寮費無料の求人を選べば、家賃の心配をせずに働きながらお金を貯められます。
所持金が少ない場合でも、給料の一部を前払いで受け取れる制度がある職場を選べば、最初の給料日までの食費などをまかなえます。身分証やスマホがない場合でも相談を受け付けている会社もあるので、あきらめずに相談してみてください。
寮寮ワークでは、即入寮・寮費無料の工場求人を扱っています。家賃滞納で住まいを失いそうな方、すでに住む場所がない方からのご相談も受け付けています。今の状況をそのまま伝えてもらえれば、入寮できる時期や必要な物を確認してご案内します。
家賃滞納しそうなときの大家・管理会社への伝え方
家賃を払えそうにないとき、大家や管理会社に連絡するのは気が重いものです。ただ、伝え方を少し工夫するだけで、相手の受け取り方は大きく変わります。ポイントは、「謝る」「理由を短く伝える」「払える見通しを具体的に伝える」の3つです。
たとえば、次のように伝えます。「今月の家賃の支払いが遅れてしまい、申し訳ありません。仕事の契約が切れて収入が減ってしまいました。今月25日に給料が入るので、そのときに半分の3万円を払い、残りは来月10日までにお支払いしたいと考えています。この形でご相談できないでしょうか」。支払いの見通しが具体的だと、相手も判断しやすくなります。
見通しが立たない場合も、正直にそう伝えましょう。「今は払える日がはっきりしませんが、住居確保給付金の申請を進めています。結果が分かり次第ご連絡します」のように、今どんな行動をしているかを伝えることが大切です。相手が知りたいのは、「この人は払うつもりがあるのか、連絡がとれるのか」だからです。
伝えた内容は、メールやメッセージなど記録が残る方法でも送っておくと安心です。約束した支払日を守れそうにないときは、その日が来る前にもう一度連絡しましょう。約束を黙って破ることが、いちばん信頼を失う行動です。
この章のポイント
- 「謝る・理由を短く・払える見通しを具体的に」の3つ
- 見通しが立たなくても、今している行動を伝える
- 約束の日を守れないときは、その日より前に連絡する
家賃滞納は連帯保証人や家族にも影響する
賃貸の契約に連帯保証人を立てている場合、家賃を滞納すると、大家は連帯保証人に対して滞納分の支払いを求めることができます。連帯保証人は、住人と同じ責任を負う立場だからです。
連帯保証人になっているのが親や兄弟の場合、ある日突然、家族のもとに請求が届くことになります。家族に知られたくないという気持ちから滞納を隠していても、滞納が続けばいずれ連絡がいくと考えておいたほうがよいでしょう。
家賃保証会社を使っている契約でも、別に緊急連絡先として家族を登録していることがあります。緊急連絡先は支払いの義務を負う立場ではありませんが、住人と連絡がとれないときに、保証会社や管理会社から連絡が入ることがあります。
家族に迷惑をかけないためにも、滞納しそうだと分かった段階で、自分から家族に相談しておくのが結果的に一番です。事情を知っていれば、家族が一時的に支払いを助けてくれたり、実家に戻って生活を立て直す道を一緒に考えてくれたりすることもあります。
この章のポイント
- 連帯保証人には滞納分が請求される
- 緊急連絡先の家族に連絡が入ることがある
- 滞納しそうな段階で家族に相談しておくのが結果的によい
強制退去が迫っているときの1週間の動き方
明け渡しの催告を受けた、退去の期限が近いなど、強制退去が目の前に迫っている場合は、限られた時間で住まいを確保する必要があります。一例として、1週間でやることを順番に並べました。
| 日 | やること |
|---|---|
| 1日目 | 自治体の自立相談支援機関・福祉事務所に電話し、相談の予約をとる |
| 1〜2日目 | 寮付きの仕事を扱う会社に連絡し、入寮できる時期と必要な物を確認する |
| 2〜3日目 | 身分証・通帳・保険証・スマホ・お薬など、持ち出す物をまとめる |
| 3〜5日目 | 持っていけない家具や家電を処分する、または預け先を決める |
| 5〜7日目 | 郵便の転送届を出し、退去日と鍵の返し方を大家側に伝える |
いちばん大切なのは、次に住む場所を先に決めることです。寮付きの仕事であれば、面接から入寮まで数日で進むこともあり、強制執行の日より前に退去して次の寮へ移ることも十分に可能です。
持ち物は、次の住まいに持っていける量まで減らすつもりで整理しましょう。寮には家具家電が備え付けのことが多いので、衣類や身の回りの物をかばん数個にまとめれば移動できます。処分に費用がかかる大型の家具は、自治体の粗大ごみの回収日を確認して早めに申し込みます。
もし期限までに次の住まいが決まらなくても、自治体には一時的に泊まれる場所を案内してもらえることがあります。住む場所がなくなる前に相談しておけば、路上で夜を明かすような事態を避けられます。困ったときは、夜間や休日でも受け付けている相談先がないかも、自治体のホームページで確認しておきましょう。電話番号を先に控えておくと、いざというときに慌てずに済みます。
家賃滞納と強制退去でよくある誤解
家賃滞納と強制退去については、誤った思い込みから、かえって状況を悪くしてしまう人もいます。よくある誤解を整理しておきましょう。
誤解①「1か月でも遅れたら、すぐに追い出される」
実際には、強制退去には裁判と強制執行が必要で、数か月以上かかります。慌てて夜逃げのように出て行く必要はありません。落ち着いて、支払いの相談と次の住まいの準備を進めましょう。
誤解②「部屋を出て行けば、滞納分は払わなくてよい」
部屋を出ても、滞納した家賃の支払い義務は残ります。連絡をとらずに出て行くと、請求や差し押さえに対応できず、かえって状況が悪くなります。
誤解③「大家は勝手に鍵を替えたり荷物を出したりできる」
裁判所の手続きを経ずに、大家が自分で住人を追い出すことは認められていません。そうした行為を受けた場合は、法テラスや自治体の相談窓口に相談できます。
誤解④「一度滞納したら、もう部屋は借りられない」
保証会社の審査に通りにくくなることはありますが、滞納分をきちんと払い終え、収入と貯金を安定させれば、再び部屋を借りられる可能性はあります。その間は、審査のない寮付きの仕事などで生活を立て直すのが現実的です。
家賃滞納をくり返さないために
強制退去を乗り越えて生活を立て直したあと、同じことをくり返さないためには、家賃滞納の原因をふり返っておくことが大切です。
多いのは、収入に対して家賃が高すぎたケースです。一般的に家賃は手取りの3割程度までが目安といわれます。手取り20万円なら6万円前後です。これを超えていると、収入が少し減っただけで支払いが苦しくなります。
もう一つは、急な収入の減少に備える貯金がなかったケースです。仕事を失ったり、けがや病気で働けなくなったりしたときのために、生活費の数か月分の貯金があれば、次の仕事が見つかるまで家賃を払い続けられます。
寮付きの仕事で働いている間は、家賃がかからない、または安いぶん、貯金を作る絶好の機会です。寮にいる間に数か月分の生活費を貯めておけば、その後に賃貸へ移っても、急な出費や収入の減少に慌てずに対応できます。
また、家賃の支払いを給料日の直後に自動で引き落とされるように設定するのも効果的です。手元にお金があるうちに家賃が先に払われるので、ほかの出費に使ってしまって払えなくなる、ということを防げます。収入が不安定になりそうなときは、家賃が払えなくなる前に、住居確保給付金などの制度を調べておく習慣をつけておくと、いざというときに慌てずに済みます。
1. 滞納が浅いうちに、大家・管理会社・保証会社へ正直に相談する
2. 住居確保給付金など、使える制度を自治体の窓口で確認する
3. 住まいを失いそうなら、寮付きの仕事で住まいと収入を同時に確保する
家賃滞納と強制退去に関してよくある質問
まとめ:家賃滞納から強制退去までには時間がある。早く動けば避けられる
本記事では、家賃滞納から強制退去までの流れと期間、荷物や警察の扱い、退去後の支払い、強制退去を避ける方法と住む場所の確保を解説しました。家賃滞納で強制退去になるまでには数か月から1年ほどの時間と、何度もの話し合いの機会があります。督促や書面を無視せず、早めに相談し、使える制度を確認すれば、強制退去は避けられる可能性があります。住まいを失いそうなときは、寮付きの仕事で住まいと収入を同時に確保する方法もあります。
この記事のポイント
- 家賃滞納で強制退去になるのは、裁判と強制執行を経たあと。数か月〜1年ほどかかる
- 滞納が3か月ほど続くと、契約を解除されやすくなる
- 強制退去を行うのは裁判所の執行官。大家が勝手に追い出すことは認められていない
- 強制退去のあとも、滞納した家賃や費用の支払い義務は残る
- 住居確保給付金や分割払いの相談、寮付きの仕事で住まいを確保する方法がある
この記事の監修者・運営者
監修
株式会社myteams 代表。人材・求人メディア業界にてマーケティング責任者・取締役として8年以上のキャリアを持つ。SEO対策・Webマーケティング・求人メディア事業の立ち上げ・拡大に豊富な実績を持つ。求職者支援の現場経験をもとに、寮付き求人情報の調査・監修を担当。
寮寮ワーク(株式会社myteams)
即入寮・寮費無料の工場・製造系住み込み求人に特化した情報メディア。人材コーディネーターが口コミ・実態調査をもとに情報を管理しています。
関連記事
家賃滞納の口コミ・評判
まだ口コミがありません。最初の投稿をお待ちしています。
家賃滞納の口コミを投稿する
実際に家賃滞納を利用・勤務した経験をお持ちの方の投稿をお待ちしています。ニックネームでOKです。
※口コミ本文は40文字以上でご入力ください


